3月中旬〜6月頃までが、最適なシーズンとして広く認識され、昼間の潮の引きが良い日には、9月中頃まで楽しむことができる潮干狩り。
海で自然を満喫しながら、無心で貝を探し当てるのも楽しいですが、産卵期を迎える春から初夏にかけて、身がふくらみ、美味しいと言われる旬を迎えた恵(あさり)ですから、せっかくなら最後まで美味しく頂きたいですよね!
・・・という事で、
あさりの持ち帰り方〜美味しくいただく方法をご紹介したいと思います。
もくじ
あさりの持ち帰り方
せっかく獲ったあさりですから、思い出話しとともに家族みんなで美味しくいただいたり、たくさん獲れたなら、ご近所さんにお裾分けしたいですよね。
そこで、大切になってくるのが、
あさりの鮮度です。
持ち帰り方を間違えてしまうと、あさりが帰宅中に死んでしまい、元気だったはずのあさりまで、弱ってしまうことに・・・。
そんな事にならないためにも、何か秘策はないかな??
と、何かしらかのヒントを求め、毎年通い詰めている潮干狩り場である「海の公園(横浜市)」を隈なく観察していると、目の前に現れたのは、浅黒く日焼けしたガッチリ体型のそこそこ年配の男性・・・。
まるでサンタクロースのように、パンパンに膨れあがったオレンジ色のネット(網)を肩に担ぎ、その中は、獲れたての大きな貝ばかり・・・(で、マジ大漁)。
そして、誰よりも早く狩場を立ち去ろうとするその姿に、
これは地元の『貝獲り名人』に違いないッッ!!
と、確信し、その手際の良さを感心した風を装いながら、なにげな〜くさりげな〜く話し掛けてみたところ、白い歯をキラッと輝かせながら、
極意を伝授していただく事に成功したので、
皆さんにこっそりシェアしたいと思います!
いや、Webで話したら、こっそりじゃないって・・・。
って、前置き長いって・・・。
事前に用意したいツール
貝獲り名人の極意を全うするには、潮干狩りに向かう前に、あらかじめ用意し、当日の持ち物に加えていただきたいツール(道具)がいくつかあります。
・・・と、言っても、
大抵のものは、ほとんどのご家庭にあるものばかりで、潮干狩りに行くぞ!と、計画した段階から、ちょっと気に留めておけば、集めることができるものばかりなので、ご安心を〜!
・発泡スチロールの箱(保冷バッグでも可)
・保冷剤
・新聞紙
・空のペットボトル(できれば2Lのものを数本)
・貝を洗う時にザルやボールがあると便利
(貝獲り時に使用するネットやバケツで代用可)
名人直伝!事前処理
あらかじめ海でやっておきたい事前処理についてお伝えしたいと思います。
① まずはしっかり洗うべし!
帰り際に、獲ったあさりを水道水でしっかり洗いましょう。
お米を研ぐような要領で、貝と貝を擦るように洗い、貝の表面についたヌメりを極力取り除くようにします。
その際、前項目で記述したネットやザルに貝をあけ、ボールやバケツで流水を受けながら、ザクザク洗うと早く楽に洗えますよ!
あさりは、真水につけておくと死んでしまいますが、流水(真水)で洗う分には、口を堅く閉じるので、帰宅中に外気の影響を受けるリスクを減らし、海水中で貝表面につく腸炎ビブリオ(菌)を洗い流し、衛生面でも効果的です。
② 水を切り、保冷すべし!
事前に用意しておいた発泡スチロールの箱(もしくは保冷バッグ)に、水切りした貝を移し、保冷剤を利用して、高温にならないように持ち帰ります。
その際、保冷剤が貝に直接当たってしまうと、弱ったり、死んでしまうので、保冷剤を新聞紙で包むようにしましょう!
水切りをした状態で、貝は死なないのかな?
もう10年来、あさりを海水につけて車でそーっと持ち帰ってきていましたが、自らを堅く閉じた殻に挟んで死んでしまったり、かなり弱っている貝が、必ず、2〜3個見つかります。
ですが、今年、この水切り方法で持ち帰ってみたところ、ひとつも弱ることなく、持ち帰ることに成功しましたよ!
③ 海水を持ち帰るべし!
海水は、事前に用意しておいたペットボトル(キャップがしっかりできるので安心)に入れ、極力、綺麗な状態のものを持ち帰るようにしましょう。
なので、砂なども一緒に持ち帰ってしまう波打ち際で海水を汲むよりは、少しでも沖に出て、静かに汲みましょう。
また、潮干狩り場によっては、海水の入ったタンクが置かれているので、その海水をいただくのも良いですよ!
名人直伝!事後処理
帰宅後、砂抜き作業に入る前に、早々に済ませたいのが、
もう一度、丁寧に真水で洗うことです。
その際、注意したいのは、
キッチンのシンクでは、洗わないこと!
貝に付着しているかもしれない腸炎ビブリオ(菌)を食べ物を調理するキッチンで洗い流しては、感染(食中毒)を招き、危うい状態です。
水道の通っているベランダや庭、もしくは、お風呂場などで洗ってくださいね!
砂抜きをする
洗い終わったあさりは、砂抜きをしてあげましょう!
砂抜きに使用する入れ物は、底が平らなものが良く、水を貯められる器に、ひと回り小さいカゴが収まっている(百均などでも売られている)水切りカゴのようなものが用意できると良いです。
そして、あさり同士が重ならないように、カゴの上に敷き詰める様に並べたら、ペットボトルに入れて持ち帰った海水をあさりが隠れる程度に注ぐと元気に水を吐き出し、3〜4時間で砂抜きが完了します。
その際、ポイントとなるのは、海にいる時と同じような環境にあさりを置いてあげる事で、水切りカゴごと新聞紙などで覆い薄暗い状態にして、涼しいところに置いてあげると、あさりはリラックスして、砂を吐き出すようになります。
また、新聞紙は、水切りカゴに蓋がない状態であれば、あさりが吐き出した水(想像以上に吐き出します)で、周りが水浸しになるのを防ぐ役割も果たします。
※ 新鮮なあさりは、本当にものすごい勢いで水を吐き出し、かなり遠くまで飛ばすので、ペットボトルで持ち帰った海水を時々補充してあげることも、場合によっては必要になります。
美味しくいただく為のひと手間
① 栄養を与える
砂抜きをする際、海水とともに、
はちみつを一滴入れるだけで、あさりの旨味が増します。
これは、独立行政法人水産総合研究センターが発表している研究結果で、出荷前のあさりをブドウ糖添加海水に24時間つけたところ、あさりの旨味成分であるコハク酸の量が2.8倍にまで増えたのだそうです。
② 塩抜きをする
潮干狩りで獲ったあさりは、そのままでは塩分を多く含み、調理中に使用する塩分を控えても、料理の味を変えてしまうほど、塩っぱい状態です。
そこで必要になるのが、塩抜きなのですが、手順はいたって簡単!
砂抜きを終えたあさりを一度真水で洗い、今度はあさりだけを容器に戻し、
新聞をかぶせたら、常温で1時間ほど放置するだけ!
これだけで、あさりはずいぶん塩水を吐き出しますよ。
たったこれだけで、美味しくなるなら、やらなきゃ損!損!
漁師さんの保存法と期間
当然のことながら、砂抜き後に塩抜きをして、そのまま調理していただくのが、あさりを一番美味しくいただく方法ですよね。
ですが、たくさん獲れた場合、一度にいただく事が難しかったり、数日に分けていただきたく思うこともありますので、保存方法とその期間をお伝えします!
冷蔵保存
すぐに食べる事ができる場合は、冷蔵保存がおすすめ!
その場合は、砂抜き→塩抜きの後、あさりを新聞紙に包み、さらにジッパー付きビニール袋に入れ、冷蔵庫で保管する方法です。
この場合は、2〜3日で食べきるようにしましょう。
ただし、口が開いていたり、臭いを感じる場合は、この限りではないので、残念ですが、処分するようにしてくださいね。
冷凍保存
この冷凍法は、速水漁港(横須賀市)で会った漁師さんが教えてくれた保存方法で、あさりが大量に獲れた時でも、無駄にする事なく、とても重宝している保管方法です。
この方法であれば、数週間は美味しくいただけます。
ただし、冷凍保存であっても、冷蔵保存同様、下記に示す調理法を試みても、口が開かなかったり、臭いを感じる場合は、この限りではないので、処分するようにしてくださいね。
① 汁物以外で使用する場合
砂抜き→塩抜き後、あさりを殻付きのまま水切りし、フリーザーバッグに入れて、冷凍保存する方法です。
この場合の調理は、凍ったあさりは解凍せず、急激に熱を加えることで、貝の口を開かせる事がポイントとなります。
ですから、お鍋やフライパンに投入する際は、事前に鍋の水を沸騰させておいたり、フライパンを温めておく事が必要です。
また、あさりは熱を加えれば加えるほど、固くなり、美味しさが損なわれるので、口が開いたら、すぐに味付けをして、素早く加熱調理を終えることもポイントとなりますよね!
水切りしたあさりを金属製のトレーの上に並べて冷凍すると、より急速に冷やし固めることができ、旨味をしっかり閉じ込められるらしいよ!
② お味噌汁やスープにする場合
砂抜き→塩抜き後、あさりを殻付きのまま真水と一緒にフリーザーバッグに入れて、冷凍保存する方法です。
この場合の調理は、①同様、凍ったあさりは解凍せず、急激に熱を加えることで、貝の口を開かせる事がポイントとなりますので、
お味噌汁(もしくはスープ)用に沸騰させた鍋の水に、凍りついた貝(貝入り氷の状態)のまま投入し、貝の口が開くまでは、アクを取りつつも、火力を弱める事なく沸騰させてくださいね。
この方法だと、あさりの旨味が真水に移りますが、その真水ごと調理するので、とても美味しくいただけますよ。
冷凍保存の場合は、必要分を小分けにしてから冷凍するのも大切なポイントだね!
あさりの大きさを大小に分けて保管するのも、その後の調理が楽になりそうだね!
潮干狩りに出かける前も、出かけた後も、手間隙かけずに美味しく楽しく過ごせたら嬉しいな〜♪